<ネタバレ>90分間に、笑いと、感動と、見終わってあとひくような奥の深さ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>90分間に、笑いと、感動と、見終わってあとひくような奥の深さを含んだ佳作。ストーリーはわかりやすく、子供や家族と見るのに最適な一作。テンポ良くストーリーが展開し、メヘディ役の少年のコミカルな演技が、観ている者を飽きさせない。メへディの強引とも言える愛の希求と、無茶とも言える思い込みには、最初どうしても苦笑してしまう。それが、彼の必死さに、自分もどんどん真面目になって応援するようになっているのがわかる。
「子ども達には愛が必要なんです」と言いつつ、まったくそれを自分の言葉ともできなかったケースワーカーの母親がやっと少年を受け入れる事ができるようになったとき、少年は新たな母を探してか、それとも現実を知ってか、姿を消す。過剰にならないエンディング演出と、母親役の女性の心配する表情が、ウエットや無理なハッピーエンドになりがちな子供主役映画を上手く持っていっている。
私事ではあるが、最近非常に「路上で生きる子供」を見る機会が多くなり、今回の映画は考えさせられるものがあった。路上生活者にお金を恵む事を強く拒む人は多いが、彼らもたくましく、けなげに生きている。コインの一つ、明日は渡してあげようと思った一本である。