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<ネタバレ>"青春"という言葉は、漠としてつかみどころのない、あの年齢でしか認識する事が出来ない言葉だと思う。高校を卒業して数年経って「あの頃は青春してたな」と思い出す時の"青春"は、実際に10代の僕が感じた"青春"とは異なっているだろう。あの時感じていた感情を、僕はいま「自分を認めてくれない社会への不満と将来の不安」と言葉にするけど、たぶんそんなに簡単に言い表せる言葉でもない。その時は確実に感じていた、けれどもはっきりと言い表せない、それが青春だと思っている。そんな"青春"の空気を見事に映像化したのがこの映画。冒頭の度胸試しから観客を虜にし、九條と青木を中心として話が進む。このメインキャストにおける起承転結に、木村・吉村のエピソードをクロスさせ、最初は爽やかですらあったシーンは気付けば"青春"という鬱屈に塗りつぶされている。だんだん暗くなってゆく展開の中で、九條が一人妖しく光る。繊細さと凶暴さ、それが美しさのなかで龍平が一段と映える。最後のクライマックスに鳴り続けるギターは、青木の存在まで切り裂く。
観終って、僕が初めてミッシェルのCDを買った日のことを思い出した。ミッシェルを聴かなくなった時、僕の青春は終わったのかもしれない。[良:1票]