前半長ぇ~っ! 何とバランスの悪い配分だろう。話の本題に入る .. >(続きを読む)
前半長ぇ~っ! 何とバランスの悪い配分だろう。話の本題に入るのは3分の2を過ぎた頃だろうか? さすがに無駄が多すぎるだろ。まあ、映画の出来としては『たそがれ清兵衛』と『隠し剣 鬼の爪』の間と言ったところか。でも、この「間」と言うのは、映画としての出来ではなく、お話の出来と言う意味で。作品としては『隠し剣~』とどっこいかな。何と言っても木村拓哉に威厳が無い。一剣術流派の免許皆伝を受け、命を賭して武士の一分を守ろうとする“侍”には、とてもじゃないが見えない。例えば『HERO』なら、如何に検事に見えなくても作品自体がコメディーだから構わないが、この映画で一端の侍に見えないのは致命的。また、演出もこれは「淡々」ではない。「のっぺり」だ。ただ話を説明しているだけで、観る者の喜怒哀楽に訴えるものが何も無い。観客はただの傍観者としてスクリーンのこちら側に置き去りにされたままなのだ。さらに視力を失くしてからの剣術稽古の描写もおざなり。一言二言助言をもらったあの程度で目の見えない物が真陰流の免許皆伝者に勝てるのか? いや、もちろんそこにテーマがあるわけじゃないのは分かってる。でも、一騎打ちのシーンはクライマックスの見せ場ではないのか? そういった部分に多少なりともリアリティが無ければ、その他の部分も単なるご都合主義に見えてしまう。ましてその後の展開は、恥ずかしいほどベタな話なのだから。