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この作品は実に強く宗教観(キリスト教的な)が反映されています。聖書を読んでいても、私の様な俗物的な人間には不条理とまで思ってしまう様な“教え”が詰め込まれています。
キリスト教で教え説かれる無償の大きな愛<アガペー>が、作中では一人の人間を変えてゆく。罪を犯していながらも、与えられた「愛」と「許し」によって真人間になったジャン・バルジャンはやがて、人々が尊敬する人物になります。それは、かつて受けた温情をその人に返すのではなく、助けを必要とする人々へ奉仕する事で…。
ただ「無償の愛」に忠実に生き抜く主人公と、職務と自身の正義に忠実に生きるジャベールとの対比に於いても“追う者・追われる者”以上の象徴的表現を感じます。
この作品に触れ『感動』する事が出来ても、果たして自分は人にそう出来るか…?と考えさせられました。何故か、私に聖書の物語を話して下さった牧師夫妻を思い出します。