恥ずかしながら、20年以上映画を観ていてこれほど「映像」その .. >(続きを読む)[良:9票]
恥ずかしながら、20年以上映画を観ていてこれほど「映像」そのものの雄弁さに気づかされた作品は初めて。引退を間近に控えた老練な刑事と、活気逸る新米刑事のコントラストを軸に、前半は雨、雨、雨の陰鬱な街をカメラは人の腰から下の位置で水平に移動する。対象的な後半は、晴れ渡る郊外に舞台を移し、空撮を多様した縦のラインでカメラはちっぽけな人間達を見下ろす目線。7つの大罪はストーリーを組み立てるためのモチーフにすぎず、映像のダイナミクスにあっと驚かされながら最後まで一気に引っ張って行く手腕には脱帽した。刑事部屋や図書館で見られる完璧なパンフォーカス、執拗なまでに遠近法を強調したラインの美しさや図書室のグリーンのライト、ミルズの追跡をどこまでも下から追い続けるカメラの目線、光と影、色と形、映像そのものが持つ凄まじいまでの存在感が、ストーリーの異常なまでのウソっぽさを全て忘れさせてくれる。何度でも観たくなる、神々しいまでの美しさがここにある。[良:9票]