<ネタバレ>経営が崩壊状態にあるとある病院での話なのだが、序盤は日常生活 .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>経営が崩壊状態にあるとある病院での話なのだが、序盤は日常生活における病院の恐怖がリアルに描かれている。その病院は注射器や点滴の在庫が尽きかけ、院長は3日前から連絡が取れないという悲惨な状態。さらにこの病院には注射もろくに打てない看護士や、縫合も出来ない外科医などが普通に勤務しているのだ。自分がこんな病院に入院していたらと思うだけでかなり怖い。そして逼迫した状況で起きた医療ミスを医師と看護士達は何とか隠そうとする。実際に有り得そうな医療ミスを隠蔽しようと画策する様子は、治療される側の私にとってもやはり恐ろしいものだ。ましてや証拠を消すために死体を腐敗させてしまおうという考えが怖い。
この映画は放って置かれた急患の患者が発見されてから、日常にある恐怖からスプラッター系の「見た目」の恐怖にシフトチェンジする。急患の患者は緑色の体液を垂れ流しながら体が溶けていくというこれまでに例を見ない新種の病原体に犯されていたのだ。その謎の病原体は病院内の人間に次々に感染していく。ある者は正気を失い、自分で自分を傷つける。ある者は幻覚を見る。そして感染した者は全員目や口から緑色の液体を垂れ流して死んでいくのだ。これらの映像は正直顔をしかめたくなるほど(実際にしかめてたと思うけど)グロい描写が多かった。グロいのが苦手な人は厳しいかも。
そして結末は意外な方向へと進む。謎の病原体は人の意識に感染するというものだったのである。感染したものは最終的に死に到るのだが、その症状の1つが脳に異常が出て、赤い色が緑色に見えてしまうというものだ。ここで序盤の「何故りんごが赤く見えるのか分かる?」「それは脳がりんごを赤く見せているからだ。」という何気ない会話が伏線として終盤に生きてくる。そして様々な幻覚の謎が解けていくのである。
総合的に見て日常的な恐怖、スプラッター系の恐怖、そして心理的な恐怖を上手く織り交ぜたよく出来た映画だったと思う。ただ、疑問が残らないでもない。キツネのお面の少年はどうなったのかとか、ひとりでに動き出したブランコは一体なんだったのか等々。結末部分がやけに長い割に、おおまかな説明だけに終始し、こまごまとした部分の説明がぽっかり抜け落ちているのがちょっと残念だった。[良:1票]