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<ネタバレ>この映画はブラックホークが撃墜されてしまう、ソマリア内戦の介入が失敗だったと思わせる象徴的な戦闘をリアルに描いています。推し量るに、リドリー・スコットの意図としては戦争の悲惨さを浮き彫りにしつつ、ソマリアの内戦に介入したアメリカ政府の判断の是非を(アメリカ人の)観客に問いかけるというところでしょうか。しかし多くの犠牲者を出し、撤退を余儀なくされたこの戦いを題材を選んだ時点で、制作者側の基本的なスタンスは反戦ではないでしょうか。戦時下における兵士同士の友情を描きたいのなら、他にいくらでも題材があるはずですし、兵士同士の友情を描きたいだけでわざわざ政治的背景が複雑なこの事件を題材にしたというのは少し考えにくいですしね。そんな想像をよそにして、観客が普遍的に感じたことといえば戦争の悲惨さ・無意味さではないでしょうか。浅はかで無謀な作戦、「全員連れて帰る」という指揮官の無意味なプライドのせいで多くの犠牲者を出す結果となってしまいました。ただ、なるべく忠実に描いたと言いつつも、アメリカ側の視点からしか描かれていないというのはやはり問題だなと思います。そのような相変わらずの一方的な描き方が「アメリカ万歳」映画と見られる一つの要因でしょう。また、この映画におけるソマリア民兵がエイリアン(ゾンビ)みたいに描かれているとよく批判されますが、実は【Alien(エイリアン)】という英単語には「異星人」という意味の他に「外国人」という意味があります。リドリー・スコットにとってソマリア人は異星人と似たようなもので、【Alien(エイリアン)】という単語でひと括りに出来てしまう存在でしか無かったのでしょう。[良:1票]