<ネタバレ>ワイヤーアクション、CGが主流の時代において、派手な銃撃戦で .. >(続きを読む)
<ネタバレ>ワイヤーアクション、CGが主流の時代において、派手な銃撃戦でもなくナイフとナイフの一見地味で昔ながらの男と男の勝負に真正面から取り組んだチャレンジ精神には、それだけでまず1票上げたくなる。戦う2人の間にあるのは不幸な運命が招いた不条理であり、その不条理に悲しみを覚えながらも殺しのエキスパート達の一瞬も気の抜けないギリギリの戦いにスリルを覚える。そして、2人にしか分からないこの不条理こそがドラマチックであり、周りの者には手出しの出来ない運命的な戦いをトミー・リー・ジョーンズとベニチオ・デル・トロが見事に演じきっている。そんな中、2人の戦いに水を差すのがFBIの女性捜査官である。ハラム(デル・トロ)が彼女の尊敬する捜査官2人を殺害したことで、彼女は生死を問わずハラムを捕獲しようと多くの捜査員を動員する。ハラムの力を持ってすれば、これからあと何人犠牲者が出るか分からないことを確信しているL.T.(トミー・リー・ジョーンズ)は、自分の手でハラムを何とかしなくてはならなくなってしまった。こうして2人の戦いは運命付けられてしまうのだが、そんな理由付けはむしろ蛇足であったように思う。周りが余計なお膳立てをしたために、ハラムを救えなかったというL.T,の悲壮感が最後まで生きてこなないのだ。2人が戦う理由はハラムの悲惨な戦争体験によって受けた心の傷と、L.T.に裏切られたという誤解で十分なのだ。誰の邪魔も無い、L.T.とハラムの死闘を見てみたかった。