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<ネタバレ>さっすがスピルバーグの映画でとても良くできてるんですよ。冒頭からのリアリティあるファミリードラマ、20世紀末風のちょっと古めかした絵作り、日常が一瞬にして崩れ去るシーン展開、続くやはりリアルなパニック描写、この子役うまいなぁ可愛いなあと思ったらダコタ・ファニング。しかし何かが足りない。入っていけない。
中盤の触手マシーンに狙われるホラー展開は上手いが、あんなに長い時間やる意味ないでしょ。反抗的な息子も助けてくれる謎のおっさんもいいキャラだが意味ないでしょ。間接表現ながらゲロゲロスプラッタも意味ある?ないでしょ。要はいろんな要素がとても良くできていて、それが意味ないから観ていて徒労感に襲われる。
要はこの話はSFなのだよ。こんな事が本当に起こるかもしれない。その元凶役の火星人にあの造形はないだろ。あれは人間に嫌がらせするためだけにやってくる架空の悪役だ。人間とは全く思考も思想も感情も異なった異世界の存在、ではなくて人間の被害妄想から生まれた単なるアンチ人類だ。
まったく不朽の名作を原作にしてスピルバーグが撮ってトム・クルーズとダコタ・ファニングが熱演しておまけにジョン・ウィリアムズが音楽付けてどうしてこうなるんだ。スピルバーグは911がどうのこうのと言ってるようだが、現実に引きずられて何を撮っているのか分からなくなったんじゃないのか。よくできた部分が多いだけに余計気が抜けず駄世界に巻き込まれる感がある。正直ロリダコタを見るだけの目的でもあまりおすすめできない。パニック演技が上手すぎて観ていて辛い。