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<ネタバレ>山崎監督、やってくれました。「リターナー」で私が感じたことは確信に変わった。山崎監督はハードSFではなく、人情もの作品に向いていると…。 西岸良平さんの原作を元に、映画として上手にアレンジしてある点がまず良いですね。六さんが女の子だったり、茶川が若かったり、一平の父がいかにもあの時代のべらんめえ親父だったり(笑)。映画ということでこういうアレンジはうまいなって思いました。ストーリー自体はさして濃くないものの「モノは貧しくてもココロは豊か」だった昭和30年代の風物が心に染み入ります。三丁目の未舗装道路と表の舗装道路・車の波という対比も見事なビジュアル。とくに視覚効果スタッフと美術、小道具、衣装スタッフの仕事に感服しました。セットは工夫が施されて巧みなカメラワークが実現できていました。これら裏方職人の意気込みが伝わってくる画でしたね。有名な「スカ」水増しシーンがあるなら「インチキカメラ」のシーンも欲しかったかも。 役者では鈴木夫婦、六ちゃん、淳之介、アクマ先生が白眉。アクマ先生は原作から相当アレンジされていますが、戦中を引きずる人物として物語に深みを与えています。老若男女問わずおすすめできる良作ですがマイナス点はラストの主題歌ですかね…。 ちなみに劇中で登場する高円寺にあるという設定の藤戸団子店ですが、これは岡山県倉敷市に実在する藤戸饅頭本舗を店名もそのままロケで使っています。地元では知らぬ者のいない有名店です。一平と淳之介が帰りに佇む橋なども同じ倉敷市内で撮影されています。[良:1票]