<ネタバレ>堀川弘通監督が「黒い画集 あるサラリーマンの証言」に続いて松 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>堀川弘通監督が「黒い画集 あるサラリーマンの証言」に続いて松本清張の小説を映画化したサスペンス。主演が青島幸男なのだが、実際に政治家でもあった彼が義兄(渡辺文雄)のわけありの選挙資金を持ち逃げするうだつの上がらない男を演じている時点でなにかブラックなギャグにしか思えないなどサスペンスというよりは風刺喜劇という印象のほうが強いのだが、主人公が常になにかに怯えているという心理描写も見事であるし、小豆相場で儲けた主人公が後半酷い目に遭うのも同じ監督のせいか「黒い画集 あるサラリーマンの証言」と共通するものがあり、見る前は面白くないかもなあと思っていたのだが、けっこう面白かった。でも、「黒い画集 あるサラリーマンの証言」と比べてしまうとやはり物足りない感じがして傑作とまではいかないかな。(作られた時代が違うせいもあるだろうけど。)ヒロインを演じる江波杏子が色っぽく、思わず見とれてしまった。「黒い画集 あるサラリーマンの証言」で刑事役を演じていた西村晃や「砂の器」の加藤嘉、大臣を演じる小沢栄太郎といった脇の面々の演技もやはり安心して見ていられる。改名前の樹木希林が主人公の妻を演じているが、この頃から独特の存在感を発揮していて、やっぱり樹木希林はあまり変わっていないなと思う。小沢栄太郎の部屋の窓の中央に見える国会議事堂がとても印象的で、ラスト、それがアップになって終わるという余韻の残し方がうまい。