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<ネタバレ>山下耕作監督が手掛けた「昭和残侠伝」シリーズの一本。このシリーズ自体を見るのがまだ二本目で、しかもかなり久しぶりだったのだが、見ごたえがあり面白かった。山下監督ならではの美しさや障子の影なども丁寧にしっかりと作り込まれていて、監督の代名詞ともいえる花もここぞというシーンで印象的に使われていて、重厚さを感じさせる作風も山下監督らしい。主演のふたり、高倉健演じる花田秀次郎と池部良演じる風間重吉もカッコよく、義理と人情の葛藤がうまく描かれているが、中でも風間の葛藤が印象深く描かれている。山下監督の「戦後最大の賭場」で主人公の妻を演じていた小山明子がヒロインを演じているのもやっぱり新鮮な感じがする。それに千恵蔵演じる親分も存在感があり、いい味を出していてよく、とくに殺されるシーンの静かな演技が印象に残る。そのほかの脇役たちもそれぞれイキイキとしている。そんな脇役たちの演出がしっかりとしているからこそ主演のふたりがひきたつのだ。クライマックス近くで風間が組を抜け、秀次郎とともに殴り込みをかけるシーンも美しさがあり、たまらないし、「死ぬときは一緒だ。」という秀次郎のセリフに秀次郎の風間に対する深い思いを感じられるし、殴り込みで負傷した風間に「死ぬときは一緒だっていったじゃねえか。」と声をかけ、風間に肩を貸し、二人去っていくシーンも美しさやぐっとくるものがあり、感動的だった。