<ネタバレ>「緋牡丹博徒」シリーズ最終作。一作目から脚本に参加していた鈴 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>「緋牡丹博徒」シリーズ最終作。一作目から脚本に参加していた鈴木則文監督が参加しておらず、今回の監督である齋藤武市監督も外部からのシリーズ初参加ということで、いささか不安な面はあったが、ラスト作らしい盛り上がりを見せていて面白く、そんな不安は一気に吹き飛んだ。これまでもこのシリーズにお竜の周辺にいる登場人物のひとりとして何度か登場し、「鉄火場列伝」ではとくに印象に残る役回りを演じていた待田京介が今回もお竜の仲間のヤクザ役と思わせておいて、敵側のヤクザに寝返るというのは捻った展開で面白かったし、クライマックスの殴り込みも異常なほどに盛り上がっていて見ごたえじゅうぶん。(若山富三郎演じる熊寅が殴り込みに参加するのってこれが初めてのような気がする。)その中でお竜を殺そうとした待田京介の刃が一転して自分の仲間に向けられるあたりは分かっていてもグッとくるものがあるし、ここらへんがこの後の実録ヤクザ映画とは違い、まさに任侠映画らしいところ。片岡千恵蔵(時代劇以外で見るのは初めてなので、初めて登場したときは一瞬、誰だか分からなかったが。)はラストシーンでさすがの貫ろくでお竜をねぎらう。このシーンがお竜とそれを演じた藤純子へのねぎらいのように見えるのはおそらくそう見えるよう意図的に演出しているのかもしれない。最初のほうの菅原文太と松方弘樹の会話は見ていてつい「仁義なき戦い」の一幕のように思えたが、「仁義なき戦い」のシリーズはこの翌年の開始。偶然かもしれないが、なにやら藤純子の引退とともに勧善懲悪の任侠映画も終焉を迎えてしまったように感じられるのが少し興味深い。これでこのシリーズすべて見終わったわけだが、どの作品も水準が高く、娯楽性にも富んでいて面白いシリーズだったと思うし、富司純子としてしか馴染みのなかった藤純子の魅力に改めて気づかされたシリーズでもあった。そんな藤純子とお竜さんに心からありがとうと言いたい。