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<ネタバレ>戦時中に東宝が製作した戦意高揚目的の国策映画。前半は予科練での生活がメインで描かれているが、予科練というところがどのようなところであったのかがリアルに描き出されていて興味深かった。でも、こういうのは実際に戦争をしている時代に国策映画として作られた作品だからこそいやでも出るリアルさなのだと考えるとなにか恐ろしくなってくるのも事実。戦後の日本の戦争映画のような反戦的メッセージも当然なく、反対に主人公の青年が何の疑問もなく予科練を経てパールハーバーで戦果を挙げるまでが描かれていて、今見ると日本ではないどこか別の国の映画を見ているようだが、当時はこの主人公のような若者は多かったのだろう。その主人公青年の物語も一時間半ほどしてやってくるクライマックスの真珠湾攻撃のシーンになるとバッタリと消え失せてしまい、そのまま主人公の物語が再開することなくラストまでいってしまうのは驚くが、ここに至って、映画の物語すらもただの建前にしか過ぎず、本当に国民の戦意高揚を図るためだけに作られた映画だということを強く感じ、これがプロパガンダなんだなと痛感した。円谷英二監督の原点といわれるこのクライマックスの真珠湾攻撃シーンは本当に実際の記録映像を見ているようなリアルさがなんとも言えない迫力で、敵国であるアメリカの戦艦を参考にするなど資料が少ない中、よくここまでできたものだと思えるもので、のちの東宝特撮映画での円谷監督の活躍の片鱗を見ることができる。ラストはこの戦争の結果を知っている目からすると虚しいものがあるが、それも含めて戦争当時の日本人をリアルに知るという意味でも価値のある映画だと思う。(円谷監督の原点であるということとともに。)ちなみにこの主人公を演じた伊東薫という俳優は初主演となる本作の撮影後に出征し、戦死してしまったという。それを知った上で見るとなんだか悲しくなってしまった。