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<ネタバレ>「カルメン故郷に帰る」の続編。田舎が舞台であった前作とは違い、カルメンと朱美の都会での生活を描いているが、カラーだった前作と違って白黒(ここがいちばん驚いた。)で、前作同様にコメディーではあるものの、前作と比べるとやや内容は暗めでしんみりとしており、続編でありながら印象はだいぶ違うものになっている。個人的にはやはり前作のほうが好きだが、前作で日本初のカラー映画を手がけた木下恵介監督だけあって本作でもカメラを傾けた斜めの画面の多用などはかなり実験的で面白いし、選挙に立候補する軍国主義の女性政治家(三好栄子)と「原爆」が口癖の家政婦(東山千栄子)のキャラクターも滑稽で強烈。また木下監督らしい政治風刺が利いているのも面白く、当時の時代性がよく出ている。しかし、木下監督はそういった当時の風潮を笑い飛ばしているように見え、時代に敏感で、その時代を冷静にみつめることのできる監督なのだとあらためて気づかされた。ひょっとしたら本作は「カルメン故郷に帰る」の続編としてよりも、それとは別の社会風刺喜劇として見たほうが面白いかもしれない。ラストがやや中途半端な印象があり、エンドマークも「第二部 完」となっていて、三作目の構想があるような終わり方をしているが、実際のところはどうだったのだろうとつい考えてしまう。