<ネタバレ>シリーズ第3作。今回はいよいよ上海での次郎(市川雷蔵)の諜報 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>シリーズ第3作。今回はいよいよ上海での次郎(市川雷蔵)の諜報活動が描かれるわけだが、もちろん国外ロケではなく、登場する上海はセットによる再現。でもそんなことがあまり気にならないほどセットが作り込まれているのは大映らしいし、主演の雷蔵はもちろんヒロイン役の安田道代をはじめ、中国人を演じる俳優陣がちゃんと中国語を話しているのも良い。(ただ松村達雄だけはイントネーション含めて全部日本語で風貌も中国人に全く見えず、最後までいつもの松村達雄だったのはちょっと残念。)3作目ともなると雷蔵演じる次郎もそうだが、シリーズとしても板についてきた感じがあって安心して見ていられるし、草薙(加東大介)から提供されるメガネや万年筆といった小道具を次郎が駆使するのも前作よりもさらにスパイ映画らしさが増した感じがして面白い。(こうしてみると草薙は007のMとQ、両方の役割を持っているんだなと分かる。)今回は中国人に扮して関所を通り抜けるシーンがハラハラさせられるが、次郎の変装はやはり巧みで見事。この変装シーンはシリーズ毎回の見どころで、また雷蔵だからこそ様になっている。1作目からずっと出ていた杉本(仲村隆)が殉職してしまうのは悲壮感があり、またそれによって彼らの目的が果たされるわけではないというところにやりきれなさがありスパイという仕事の無情さがよく出ていたのがけっこうリアルで印象に残る。