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<ネタバレ>松林宗恵監督が亡くなって早いもので一ヶ月。この映画は真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦までを夏木陽介演じる主人公の視点から描いた松林監督の戦争映画。乗組員を全員退避させたあと沈みゆく戦艦内に二人だけ残った三船と田崎潤は当時の軍人というものの覚悟というものをよく表現していて良かったと思う。その後の海底に沈んだ戦艦内から霊体となった二人が出てきて「これ以上の犠牲者は出したくない」などと語り合うシーンは多少のやりすぎ感を感じなくもないが、松林監督の思いがストレートなメッセージとして伝えられているような気がしてとても印象深い。それに生き残った主人公たちの運命も考えさせられるものがある。ただ、史実をなぞっているためか物語としてはやや大味でドラマとしての深みがあまり感じられなかったのはちょっと残念で、「潜水艦イー57降伏せず」や「太平洋の翼」に比べると少し出来は落ちるかもしれない。そうそう、笑えるシーンこそないが、さりげなく「社長シリーズ」の小林桂樹と加東大介、そして戦前の喜劇映画の大スターである榎本健一(エノケン)を出しているあたりも松林監督らしい。