黒澤明監督の初の松竹作品。プライバシー侵害を扱った法廷劇が中 .. >(続きを読む)[良:1票]
黒澤明監督の初の松竹作品。プライバシー侵害を扱った法廷劇が中心だと思っていたら、ダメな弁護士が立ち直るまでの過程が中心でちょっと驚いたが、その弁護士の人間ドラマがなかなか面白かった。(その分、法廷シーンはちょっと物足りない。)黒澤監督の映画では欠かすことの出来ない俳優の一人である志村喬がこの役を演じているのだが、寡黙な役の印象の強い彼がやたら饒舌なキャラクターで最初出てきた時にはミスキャストだと思ったが、後半は志村喬が抜群に良かった。とくに、「蛍の光」を合唱するシーンは素晴らしい。これが、後の「生きる」につながっていくんだろうなあ。黒澤作品で久しぶりに見る三船も、後々演じることになる威厳のある存在ではなく、ギラギラしている役でもないがこういう演技も新鮮。小沢栄太郎のいやらしさも板についている。しかし、山口淑子はなんか仏頂面だし、桂木洋子に冠を被せているシーンではひいてしまった。二人ともあまり見たことがないだけに魅力を感じることが出来なかったのは残念。「素晴らしき日曜日」のレビューで中北千枝子が魅力的だったと書いたけど、やっぱり、川島雄三監督や成瀬巳喜男監督のほうが女優を魅力的に撮ることに関しては黒澤監督よりも優れていると思う。[良:1票]