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<ネタバレ>今回は55号のふたりが同じ市役所の同じ課に勤める兄弟という設定で、欽ちゃんが弟、二郎さんが兄なのだが、筋金入りのケチな兄に小言を言われまくっていた弟が係長になった途端に兄に上司風を吹かせて仕返しをする最初の展開がいかにもコント的な感じで、二人も兄弟という設定上か先週見た「ワンツーパンチ 三百六十五歩のマーチ」よりもさらに息の合ったコンビぶりを見せている。ストーリーは胃の痛い兄の自分はガンではないかという勘違いから膨らんでいき、それをきっかけに起こるすったもんだが描かれているが、それがありがちながらも笑えるし、弟がひょんなことから知り合った女性(太地喜和子)が県議の娘で、見初められた弟が彼女と婚約するエピソードはちょっとした風刺もあって良い。(太地喜和子のワガママぶりがなんかカワイイ。)旅行に出かけた兄が旅先で知り合った朱美(倍賞美津子)の旦那(田中邦衛)が寅さんのような風貌で笑えるのだが、この倍賞美津子というキャスティングもおそらく寅さんのパロディーを意識してのことでそれを思うとよけいに笑える。(そういえば田中邦衛、この年に公開された「男はつらいよ」の一本に出てたな。)海に飛び込んだ兄を助けたのが弟が恋をしている女性 秀子(由美かおる)だったというのはちょっと強引に感じるものの、兄を死んだことにして香典を集める後半の展開はなかなかの見もので、ここがいちばん笑えた。全体的に「ワンツーパンチ 三百六十五歩のマーチ」よりもペーソスのある作風だが、ラストは市役所を辞めた二人が屋台のラーメン屋になっている姿が描かれていて、そこで秀子にも振られてしまうのだが、それでも前を向いて生きていこうとする姿に思わず勇気づけられた。ほかの出演者では病院で兄に話しかける患者役に三木のり平が出ているのが嬉しい。薬局の店員を演じている和田アキ子が若いながら今とほとんど印象が変わらない感じなのはすごかった。医者役はあんまり見たことがない人だなと思っていたら俳優が本業ではないなかにし礼だったのもビックリ。