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<ネタバレ>雪を撮らせたら右に出る者はいないと言われるキャメラマンである木村大作が自ら脚本と監督を手がけた山岳映画。映画キャメラマンの監督作品を日本映画で見るのは初めてのような気がするが、どうしても新田次郎の原作を映画化したかったという木村監督の思いがよく伝わってくる反面、山の険しさ、厳しさと美しさを表現したいという思いが強すぎる故か、どうも木村監督の興味がただ山を撮ることだけにあるように思え、山に挑む主人公たちの人間ドラマにはほとんど興味がないかのように思えるほど、人間ドラマが薄く、葛藤というものが描かれていないばかりか、上映時間の都合か最後もいきなり頂上にたどりついたような印象で、カタルシスを感じないし、物足りない。全部生撮りで撮影の現場は録音技師の斉藤禎一が負傷するなど過酷だったようだが、映画を見ていてその過酷さが伝わって来ないし、作っている側は感動しているのかもしれないが、見ている側の感動は薄い。同じ新田次郎原作で木村監督が撮影を担当している「八甲田山」のほうがドラマとしての見ごたえはあるのではないかと思う。エンドロールが「俺たちは苦労してこの映画を作ったんだぞ。どうだ。」みたいな感じがして、なんだかこの映画がすべて撮影に関わったスタッフ・キャストの自己満足を満たすためだけに作られた映画のように思えてしまったのがなんかイヤだった。そういうことをされると所詮はそういう映画だったのかということしか印象に残らなくなる。ここに2点マイナス。