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<ネタバレ>松本清張生誕100年を記念して東宝で製作された「ゼロの焦点」の再映画化作品。野村芳太郎監督の松竹版を先週に再見したばかりだが、それから約一週間経ってから本作を見た。ドラマ部分に物足りなさを感じた松竹版と比べると本作は佐知子(中谷美紀)と久子(木村多江)の関係などのドラマ部分を掘り下げようとしている点や、松竹版で不足していた部分にも補足がしっかりされていて、松竹版よりもこちらのほうがストーリーは分かりやすくなっている。室田夫妻のキャラクターが松竹版とはまるで違うのも、まあこれはこれで悪くはない。しかし、中谷美紀演じる佐知子はどこか怪物的な怖さがあり、すごくインパクトがあるのだが、少々やりすぎてしまった感があり、演技もうまいんだけど少しオーバーに感じたのがちょっとなあ。(中谷美紀は普通の役よりもこういうややエキセントリックな役が似合うとは思っているけど。)禎子(広末涼子 主要三人の中ではかなり浮いて見える。)の推理シーンが断崖でないのは2時間ドラマっぽくなるのを避けたかったというのは分かるのだが、そこはやはりこの物語のハイライト部分なのでそのままが良かったかなとも思う。後半の途中あたりから終盤までが松竹版と変わってしまっているのはドラマ性を強調しすぎるあまりと思うのだが、逆にこんな話だっけと思ってしまうし、佐知子の夫とか最初とキャラがぶれていて違和感があった。久子の死に方も松竹版のほうが切なさが出ていたと思う。全体的な雰囲気も昭和に製作された松本清張原作映画を見慣れてるせいもあると思うのだが、なんかいかにも今どきの映画という雰囲気が出すぎていて、松本清張原作と聞いてイメージするものとは違う気がする。それに、記念映画として製作するなら何も過去に何回も映像化されているものでなくてももっとほかに映画化されていないものの方が良かったのではとも思えてしまったのも事実だ。松竹版と合わせて2作品見終わったあとの印象は最初のほうは分かりやすさで言えばこっちのほうが良いけど、終盤にかけては松竹版のほうが良かったというどっちつかずの微妙な感じ。点数はとりあえず松竹版の補完版と見て同じ点数を。でも、松竹版を見ずにいきなり本作を見たらどう思っていただろうか。