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<ネタバレ>劇中の時間と実際の時間を同じにするという手法は今ではそんなにめずらしいことではないが、本作がその原点であることは間違いないだろう。そうする事によってやはり独特の緊張感が生まれ、より映画を見ている観客と登場人物が一体になることができるのだと思う。そんなこの映画もかなり久しぶりに見たが、やはり面白かった。本作はさっき書いたことに加えてゲーリー・クーパー演じる保安官の人間としての弱さを描くことによって、保安官も無敵のヒーローではなく、一人の人間であることを感じさせているところがリアルだし、(遺書を書くところなんてまさにその極み。)彼が一緒に戦ってくれる仲間を集めようとしても、みんな怖気づいたりして結局誰も集まらず(中でも協力しようとした一人が自分しかいないことを知って逃げてしまうシーンは思わず彼に共感してしまった。)一人で戦うことになるというのも結果としてリアルにこの保安官の孤独感がこちらに伝わってくるような構成で良かった。もちろん、正午までに自分に恨みを持つならず者がやってくるというサスペンスとしての盛り上げ方も何度も時計を映すなどして煽っていて観客の緊張感を最後まで持続させるような演出が効果的に使われていて良い。街を出ようとしていた保安官の新妻(グレース・ケリー)が列車が発車する寸前に列車から飛び降りて町へと戻るシーンに至るまでの彼女の心変わりに至るまでのドラマも見ごたえがあるものになっている。対決の場に現れたかつて家族を銃で殺された経験を持つ彼女がならず者の一人を射殺してしまう展開は衝撃的で皮肉。これが彼女のその後の人生に影響が出るのではないかと心配になってしまった。保安官がバッジを捨てて新妻とともに去っていくラストシーンが有名だが、やはりここに本作のメッセージがいちばん込められていると感じる。主題歌も好きだ。(2020年1月26日更新)