<ネタバレ>ドラえもん映画シリーズの中でも最高傑作の誉れ高い「のび太と鉄 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>ドラえもん映画シリーズの中でも最高傑作の誉れ高い「のび太と鉄人兵団」のリメイク版。シリーズの中でもとくにメッセージ性の強い話で、また個人的にも深く印象に残っているので、かなり不安があったが、実際に見てみると、オリジナルの雰囲気を損なうことなく、本作独自のアレンジであるジュドの頭脳をキャラクター化したピッポの存在も含めてうまく脚色している。本作ではリルルと静香が友情を築いていくのと平行して、のび太がピッポと友情を築いていく過程が描かれる。見る前はいくらなんでも詰め込みすぎだろうと思っていたが、バランスよくかつ丁寧に描かれ、ピッポの心変わりがリルルをも変えていくという展開にしたのはうまいと思う。少し分かりやすすぎると感じるきらいはあるが、ここにオリジナルとは違うドラマ性をみいだすことができるし、ピッポを単なる子供受けをよくするためだけのキャラクターに終わらせていない。むしろピッポがいることによって静香だけではなくレギュラーメンバー全員が主役という位置づけになっている。ピッポがのび太に「のび太と戦いたくない。」と言って泣き出すシーンは思わずピッポに感情移入してしまった。クライマックスの消えゆくリルルとピッポがそれぞれ静香やのび太と交わす最後の会話はやはり本作でも感動的で泣けるのだが、本作ではその前にリルルとピッポの会話があり、すべてを受け入れた二人のやりとりがすごく切なくて、このシーンのほうが泣けた。ピッポの登場は賛否両論あると思うが、個人的にはこのアレンジは成功だったように思う。ただその分、ミクロスが単なる端役に終わっているのは残念な気もするが、これは致し方ないところか。ほかにも不満はないといってしまえばウソになってしまうが、本作はオリジナルよりも「友情」というテーマを前面に出し、それを見事に描ききっている。水田わさび演じる劇場版ドラえもんシリーズはリメイクものしか見たことがないのだが、その中でもいちばん完成度が高く、オリジナルに負けないくらいの傑作だと思う。