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<ネタバレ>「ガリレオ」劇場版第2作。前作「容疑者Xの献身」ほど陰湿ではなく、湯川(福山雅治)も主人公らしい描かれ方をされていて、前作よりは今回のほうが安心して見ていられる。しかし、テレビドラマの劇場版ということを感じさせていなかった前作に比べると、やはり物足りない出来で、今回も前作同様にテレビシリーズとは違う方向に持っていこうとしているのは分かるのだが、前作と違ってテレビドラマの劇場版という感じになってしまっているのは前作が良かっただけに残念だった。ストーリーの軸となっているのがそれぞれに秘密を抱えた家族であるが、この家族全員が身勝手なだけにしか見えず、とても感情移入できる代物ではないし、予告でうたわれていた家族愛もとうてい感じられない。中でもなにも知らない小学生の甥っ子を殺人事件の共犯に仕立ててしまう旅館の主人は最低で、本当に家族を愛しているならたとえ甥でもそんなことはしてはならないと思うし、そんな男の口から家族を愛している云々の言葉を語られても説得力がなく、薄ら寒さを覚える(演じるのが善良な役柄の多い前田吟というのもイメージと違うような気がする。)し、むしろ、この家族よりも小学生にして重い荷物を背負わされてしまった少年の今後が心配になってしまった。冒頭に描かれる殺人が節子による犯行だと思わせておいて成美の犯行だったのはうまいミスリードだと思うが、被害者の女(西田尚美)がどんなにイヤな女に描かれていても演じる西田尚美にはおっとり・のほほんとした親しみやすいイメージがあり、この役を演じるには無理があるように思う。見るからにイヤな奴を演じてはまる女優ならほかにいくらでもいるだろうに。この成美の殺人だけは少しは分かる部分もあっただけにこの配役はちょっと残念だった。と、けなしてばかりだがいいところをあげれば子供が苦手な湯川が小学生の少年と触れ合うという設定は面白いし、ペットボトルロケットを飛ばすシーンはほのぼのとしていて良かった(ここだけは本当に夏休みのファミリー映画のノリ。)し、近年の朝ドラヒロインふたりの共演も楽しい。それに撮影をたけし映画も担当する柳島克己が担当しているためか青い海や空の美しさが際立っていてとても印象に残る。少し甘めだが、これらに免じて6点を。最後にもう一つだけ、ガリレオシリーズの残る長編「聖女の救済」は本作の前に連ドラの中で映像化されたが、それよりも本作のほうが映画よりもテレビ向けだった気がする。もし、映画でなくテレビドラマとして映像化されていたら、物語の印象はもっと違うものになったかもしれない。[良:1票]