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<ネタバレ>森崎東監督の新作ということで、気になっていた映画だったがようやく見ることができた。原作は認知症の母親の介護体験記を綴った岡野雄一の漫画で、認知症を題材にした物語を日本映画界最高齢監督である森崎監督が手掛けているのは興味深いものがある。老人介護をシリアスになることなく描いているためか、全体的にほのぼのとした人情喜劇に仕上がっていて安心して見られるのがいい。映画としても悪くないし、話としても良かった。母親を演じる赤木春恵はリアルタイムで見ると渡鬼などのイメージからかきつい印象のある女優なのだが、本作ではとても味わい深い演技を見せており、とても印象的だ。母親の若い頃を演じるのが原田貴和子なのだが、その幼馴染で原爆症に苦しんでいる友人を原田知世が演じているところがニクイ。ラストの写真のシーンもベタだが、心地よい後味で良かったと思う。ただ、森崎監督の映画としてはあまりにもほのぼのしすぎていて、毒気がなく、そこが物足りないところではある。喫茶店の主人役で温水洋一が出演しているが、岩松了演じる息子役は彼が演じていても違和感なさそう。[良:1票]