<ネタバレ>劇団ひとりが自らの小説を原作に共同脚本と初監督を手掛けて映画 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>劇団ひとりが自らの小説を原作に共同脚本と初監督を手掛けて映画化した作品と聞いてまた話題作りの映画なのだろうなあとタカをくくってまったく期待しないで見たのだが、これが予想を裏切る良い映画でビックリ。ストーリー的には人生に絶望した男が自分が生まれる前の過去にタイムスリップし、そこで自分の両親となる男女と出会い、今まで自分の知らなかった秘密を知っていくというシンプルでオーソドックスなものだが、あまり大きな話にせず、欲張らずにあくまでシンプルにまとめているのは好感が持てるし、お笑いタレントの初監督作らしからぬ安定感があり、やや唐突に感じる部分もあるのだが、とくに違和感を感じることもなく安心して見ることができた。主人公のマジシャン・晴夫は大泉洋が演じているが、やはりはまり役だったと思う。晴夫が胎盤剥離で入院した自分の母親となる悦子(柴咲コウ)に生まれてくる子供の未来を語るシーンは思わず泣かされてしまった。それに、子供を産めば命を失うリスクがある中で、それでも子供を産みたいという悦子のわが子を思う気持ちや母としての強さにもすごく感動してしまった。監督である劇団ひとり自身も晴夫の父親となるマジシャン役で出演しているが、主演ではないことにより、一歩引いた感があって前に出すぎていないのが良い。この父親である正太郎が、息子であることを隠し、ペペと名乗る晴夫とコンビを組むという展開が面白く、この二人のコンビぶりも良かった。それにしても、お笑いタレントが初監督作品で良作といえるものを作るのはまれだと思うのだが、間違いなく本作は良作で、言い過ぎになるかもしれないが、劇団ひとりには才能がじゅうぶんあると感じた。もともと嫌いというわけではない芸能人なのだが、監督としての次回作があればまた見たいと思う。