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<ネタバレ>久しぶりに見る渥美清主演の喜劇映画。つむじ風のごとく突然現れた風来坊の男の起こす騒動を描いているが、やはり演じるのが渥美清だけあってこの主人公のキャラクターは寅さんそのもので、やはり渥美清にはこういうキャラクターが似合っているし、喜劇俳優としての面白さや魅力も出ている。桂小金治や伴淳、さらには伊藤雄之助とのやりとりも面白く、彼らと渥美清のやりとりを見ているだけで楽しい映画である。桂小金治は女房(沢村貞子)の尻に敷かれた失業者を演じているのだが、希望を持った明るいキャラクターに描かれていて、失業者であることを全く感じさせていないのがいいし、そのことによって見ているこちら側も元気になれる。些細なことから家族を巻き込んでいがみ合いを続ける伴淳と殿山泰司もどこか愛らしい。でも、やっぱり渥美清の面白さがよく出た映画になっていて、渥美清の演技を見ているだけでなにかこう、癒されるし、渥美清という俳優はやはり最高の喜劇役者の一人だと改めて思わずにはいられない。その渥美清のほか、個性的な出演者たちの魅力を引き出す中村登監督の職人監督としての演出も手堅い。はっきり言ってこの映画自体は傑作や名作ではない。それでも渥美清の喜劇俳優としての魅力はじゅうぶんに感じられる。それだけであゝ見て良かったと思える映画だった。この映画で渥美清は主題歌も歌っている。渥美清が「男はつらいよ」シリーズ以外で主題歌を歌っているのを初めて見た(珍しいなあ。)が、これが新鮮で、その歌声も印象に残る。[良:1票]