<ネタバレ>溝口健二監督や相米慎二監督など長回しを多用することで有名な監 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>溝口健二監督や相米慎二監督など長回しを多用することで有名な監督はたくさんいるが、なんと三谷幸喜監督によるこの作品は始めから終わりまでの112分間一切カメラが止まることなくすべてをワンカットで撮影するという実験的なもので、その発想に舞台演出家である三谷監督らしさを感じずにはいられないし、またそれを映画ではなく、テレビドラマでやっていることにもすごさを感じる。内容はというと山道で迷った夫婦(中井貴一、鈴木京香)の会話劇であるが、それを飽きさせずに最後まで見せきる脚本と、主演ふたりの演技が巧妙で、すごく面白かった。とくに山に入って野生化したようになってしまう妻とそれに対する夫のリアクションが最高で、それ以降この二人のやりとりを見ているだけでもうずっと笑いっぱなしだった。(三谷監督の作品の中でも本作はとくにかなり笑える部類だ。)でも、この夫婦の仲は円満ではなく、冷めている設定。それを思うと、ひょっとしたらこの夫婦の設定は自分と小林聡美を参考に書いたのではと思えてくる。(下の方も仰られているように本作は三谷監督が離婚をした年に出した作品。)エンドロールをバックにしたラストの河原のシーンからの幸せそうな二人を見て、三谷監督なりの夫婦に対する理想のようなものを感じることができた。