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<ネタバレ>この時期既に特撮、怪獣映画ばかりを任されていた本多猪四郎監督が手掛けた加山雄三のヒット曲を基にした本人主演の青春映画で、有島一郎や飯田蝶子も登場し、劇中何度か主人公が歌を歌うなど、一見すると若大将シリーズの延長線上にある映画のようだが、松山善三の脚本はやはり若大将シリーズよりはドラマ性を意識したつくりになっていて、全体的に見ても若大将シリーズとは違うものを目指しているようだ。特撮シーンの一切ない本多監督の映画を見たのは初めてだったのだが、その演出も丁寧で、決して完成度は高いとは言えないもののオーソドックスな青春映画に仕上げており、どうしても特撮映画の印象が強い監督だが、それだけではなく職人監督として「ゴジラ」前後のようにもっといろんな映画をこの時期にも作ってほしかったなと思う。(その意味では貴重な作品だ。)ラストは主人公がヒロイン(若大将シリーズにも澄子の恋のライバル役で出演したことのある沢井桂子)にふられるという若大将シリーズとは真逆の結末だが、このラストでヒロインが幸福について語るというのが印象的で、ちょっと考えさせられてしまうし、この部分は松山善三のカラーがよく出ているような気がする。後年の「兄貴の恋人」でも加山雄三演じる主人公の妹役で出演している内藤洋子が本作にも主人公の妹役で出演していて、こちらでもやはり主人公の相手役ヒロインよりも印象に残る。