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<ネタバレ>以前見た時は期待しすぎたせいかイマイチな感じがしたのだが、15年ぶりに改めて見てみるとそこまで悪くなかった。妻を殺した過去を持ち、仮出所後も刑務所で服役中に飼っていたうなぎにしか心を開かなくなった人間不信の男と、彼が偶然助けた自殺未遂の女の「人生の再生」を淡々と描いているのだが、やはり昔見たときはこのテーマが少々わかりづらかったのかもしれない。シリアスなストーリー展開だが、ところどころにあざとくない程度に笑えるシーンが盛り込まれていて見やすくなっているのもよかった。(人間不信の男が客商売の床屋を開くという矛盾も考えてみれば笑える発想だ。)今村昌平監督のカンヌでの最高賞受賞作といえば本作と「楢山節考」だが、個人的には本作のほうが「楢山節考」よりも好み。とはいえ「復讐するは我にあり」のようなギトギト感はなく、これはやはり今村監督の演出が丸くなっているのだろうなあと感じられる。(直球勝負の映画だった「黒い雨」よりはギトギト粘りのある映画だとは思うが。)冒頭の主人公が妻を刺殺するシーンは緊迫感とインパクトがあり、このシーンは印象に残った。今村監督の映画はあまり見ていないのだが、また機会があれば日活時代の若い頃の監督作も見てみたい。(2013年10月8日更新)