<ネタバレ>邦画のホラーものというと基本的に霊を題材にしたものというイメ .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>邦画のホラーものというと基本的に霊を題材にしたものというイメージが強く、まして本作のようなゾンビを題材にしたものは邦画ではちょっと無理があるのではと思っていたが、本作はその邦画ではなじみにくいゾンビという題材を扱いながらもかなり完成度の高いものになっていて、途中飽きることなく最後まで退屈することなく面白く見ることができた。とにかく開始20分過ぎたあたりの主人公 鈴木英雄(大泉洋)の恋人であるてっこ(片瀬那奈)がゾンビ化して英雄を襲いはじめるシーンからかなり気合いの入った怖さで目が離せなくなった。この手の大作系邦画にありがちな安っぽさやハリウッドかぶれのような感じも無く、ゾキュン発生の経緯や、よけいなドラマを一切排除した脚本も潔い。とくにゾキュン発生の経緯が一切描かれないことによって、見ていて登場人物たちと同じ目線になることができるし、またリアリティーも感じることができる。(街がパニック状態になってテレビが報道特番に切り替わる中、一局だけアニメを放送しているところが細かくて笑える。このシーンを見ていて「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」を思い出した。)確かに後半アウトレットモールが舞台になってからは少し失速した感があるが、それもそれほど気にはならなかった。趣味でクレー射撃用のライフルを所持している英雄がこんな状態になっても銃刀法違反をずっと気にしているというのが思わずそこかよと突っ込みたくなるのだが、本作はこの英雄(えいゆう)と書いてひでおと読む冴えない主人公がいかに本当にヒーローとして覚醒するかも見どころで、それを最後まで溜めているので、クライマックスの英雄とゾキュンの戦いが半端なくカタルシスのあるものになっているのが最高だった。ラストシーンで藪・小田つぐみ(長澤まさみ)から名前を尋ねられた英雄がそれまでと違い、「ただの英雄です」と答えるのは彼の成長とこれからゾキュンから彼女たちを守って行くという決意が感じられてすごく印象に残る。原作漫画未完の頃に作られているので終わり方としてはやや中途半端な感じがするのだが、個人的にはこの終わり方で良かったと思う。もしも続編が作られたら見たいと思うのだが、ちょっと出来が怖い気も。[良:1票]