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<ネタバレ>佐藤純弥監督が「敦煌」に続いて井上靖の歴史小説を映画化した作品。鎖国の時代に仲間とともにロシアに漂流した実在の男が、日本に帰国するまでの8年間を描いているのだが、確かに長い年月の物語を2時間ほどで駆け抜けるため、大河ドラマの総集編でも見ているかのような印象で深みは感じられないし、いきなり遭難シーンから始まっているせいか、主人公たちの望郷の念にイマイチ感情移入できないのが難なんだが、まあ、思ったよりは面白かったかな。冒頭の嵐のシーンとかちゃちさを感じさせるところも多いが、ロシアロケ部分はなかなか見ごたえがあり、そりで雪の中を行くシーンは見ているだけですごく寒そうというのが伝わってきてリアルだっだし、初めて映画のロケに使われたという宮殿も(ちょっと観光PRのような気がしないでもないが。)まさにこの時代のロシアの栄華が伝わってくる。しかし、仕方がないとはいえ、エカチェリーナ2世に謁見したその日に帰国を許されるのはちょっと急ぎすぎな気がする。ドラマとしても物足りなさが残り、最後もあれで終わりなのかよーという感じなのだが、そんな中で凍傷にかかり、片足を切断した西田敏行演じる庄蔵のエピソードは印象的だった。