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<ネタバレ>今村昌平監督の代表作の一つで、実在の連続殺人犯を描いた作品。どうも濃そうで今まで敬遠していたが、今回やっと見た。前半の殿山泰司と垂水梧郎を殺すシーンから既に引き込まれた。主演の緒形拳は見事な熱演で主人公を演じていて、リアルすぎて怖い。実際の殺害現場で撮影したという今村監督のこだわったドキュメンタリータッチの演出も映画にリアル感を生んでいる。描かれる人間関係もどろどろとしていて、主人公を含め、主要な登場人物に誰ひとりとして感情移入できないが、わざとそういうふうに描いているようにも思う。今村監督の映画はあまり見ていないのだが、このどろどろとした人間を描くのが今村監督の持ち味というか特徴なのだろう。三國連太郎と倍賞美津子が緒形拳の遺骨を海にまくラストシーンは重々しく、投げた遺骨のストップモーションの繰り返しはこの主人公の執念を表しているようであるが、それがどこか喜劇的な演出であるというのがすごい。難を言えば清川虹子と小川真由美の親子が登場するあたりから少しダラダラ感があったのと、途中から時系列がよく分からなくなるのがマイナスだが、じゅうぶんな力作だと思う。全体的に重々しい映画であるが、川島雄三監督の映画の常連俳優であるフランキー堺が川島監督の助監督だった今村監督の映画に出演しているのはなんだか嬉しい。