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<ネタバレ>昔に見たときはたけしの映画の中でもイマイチに感じた映画だったが、久しぶりに見てみると映像的にかなり美しく、その美しさに終始魅せられてしまい、このおかげで最後まで退屈せずに見られたし、最近のたけし映画では見られない芸術性をじゅうぶんに感じることができる映画になっている。(ひょっとしてたけしのこういう映画は現時点ではこれが最後かも。)でも、この映像のイメージが先にあって、人形浄瑠璃をベースにした三つのラブストーリーというのはあとから付け足した感じだが、これがドラマとしての深みに乏しく今見てもストーリーとしてはイマイチに感じるし、たけし自身が背伸びをしてしまっているようにも感じる。ただ、深田恭子のアイドルのエピソードは本作の雰囲気からして浮いているが、この深田恭子演じるアイドルが事故に遭い、引退するという展開はたけし自身のバイク事故を重ねているようで、ひょっとしたら自分もあの事故で助かってもこのアイドルのように引退していたかもしれないという恐怖心のようなものが感じることができた。久石譲が今のところ最後に音楽を担当したたけし映画でもあるが、最初(「あの夏、いちばん静かな海。」)と最後がラブストーリーなのは偶然ではないのかもしれない。(2020年2月1日更新)