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<ネタバレ>日露戦争の旅順攻略を描いた東映の大作映画。どちらかと言えば再現ドラマに終始している印象が強いが、これがすごくよくできていて、日本が最後に勝った戦争がけっして圧勝ではなく、多大な犠牲を払ってようやく勝てたというのがよく分かる内容で、戦争の全体像もつかみやすい。戦闘シーンも迫力じゅうぶんで、中野照慶監督率いる東宝のチームが担当した特撮(中野監督の特撮、かなり久しぶりに見るけど、やっぱこの人は派手な爆発シーンがよく似合う。)も含めて見ごたえがあった。そのひたすら続く戦闘シーンは決して娯楽的に描かれているわけではなく、戦場の惨状や悲惨さをこれでもかと言わんばかりに描写し、戦争の意味を問いかけてくる構成はさすがにこのころの戦争映画らしいつくり。ドラマ部分はやっぱり深みが足らない感じなのだが、狂言回し的存在のあおい輝彦演じる親ロシアの教師が従軍して戦っているうちにロシアを完全に敵視し始めるのはけっこうリアリティがあるし、二人の息子をこの戦争で失った乃木希典(仲代達矢)の悲しみを静かに表現する演出も良かった。それになんといっても新沼謙治演じる豆腐屋の息子の逞しさが印象的。終結後、明治天皇(三船敏郎)に報告をしていた乃木がこの戦争で散った兵士たちのことを思って、次第に抑えきれなくなって号泣するのはさすがに違和感がすごいのだが、このラストシーンが三船と仲代という60年代の黒澤明監督の映画ではおなじみの二人の共演シーンだったのは嬉しく、その意味でこのラストシーンはとても印象に残る。三時間と長尺な作品だが、多少の中だるみ感はあるものの、それほど長さは感じずに見ることができた。ただ、やはり、前半部分終了時に主題歌である「防人の詩」を画面を暗転させて延々歌詞テロップ付きで流しているのは意味が分からず、ひいてしまった。さだまさしもこの歌も嫌いではないが、普通にすべて終わったあとエンディングで初めて流すだけで良かったのではないかと思う。