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<ネタバレ>見るのは二十数年ぶり二回目だったのだが、バスケのシーンをはじめとした追加シーンがあるこの特別編を見たのは実は初めて。その追加シーンというのがよくある所謂初公開時にカットされたシーンを復活させたというのではなく、公開後に追加撮影されたもの。オリジナル版と見比べてはいないのだが、その追加シーンが足を引っ張ることなく、とくに追加シーンのメインであるバスケのシーンなどは元からあったとしても違和感はないだろう。オリジナル版を見た時は深作欣二監督の映画を4本くらいしか見ておらず、その70歳とは思えないパワフルさに驚いたのだが、30本前後見ている現在だとどんなふうに思うのか不安もあったが、徐々に引き込まれ、素直に楽しめたし、実に深作監督らしい映画になっていて、やはり衰えを感じさせていないのはすごい。登場する生徒で印象に残るのはオリジナル版を見た時もそうだったのだが、光子(柴咲コウ)と桐山(安藤政信)のインパクトが抜きん出ていてやはり強烈だったし、中盤あたりの灯台のシーンの和気あいあいとしたガールズトークが一人が毒で死んだのをきっかけに罵り合い、殺し合いに発展するのは本作の中でもっとも怖さを感じさせる部分ではないだろうか。出て来るだけで異様な存在感を放つ教師をたけしが演じているのも「その男、凶暴につき」の監督に当初深作監督が予定されていたことを踏まえると満を持しての待望のタッグという感じがして、たけし自身ものびのびと演じているように思えるし、たけしが演じるからこそこの教師の冷徹さやその中にある人間味が際立っていて、とても良かった。ラスト(特別編ではそのあとにまだエピローグがあるのだが。)に出る「走れ」という画面いっぱいのテロップは今になって考えると既にこの頃癌に侵されていた深作監督のこれからの世代に対するメッセージであることは明白で、監督自身もうそんなに長くないという自覚もあったのではないかと思えてくる。(DVDに入ってる特典映像のメイキング風景を見ると監督がいちばん元気そうでとてもそうは見えないけど。)最後に本作のような映画を手掛けて、しかも賛否はどうあれちゃんと話題作になる。これは深作監督にとって本当に幸せなことだったのかもしれない。やはり個人的には本作が深作監督の遺作だと思いたい。