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<ネタバレ>高倉健が一躍大スターとなるきっかけとなった作品で、このあと「昭和残侠伝」とともにシリーズ化された一作目。東映時代の高倉健の主演映画を見るのがまだ3本目なのだが、ストイックで寡黙なキャラをこの頃から演じている・・・と思ったら高倉健がほかの囚人たちと一緒に陽気に裸踊りをするシーンは自分の高倉健に対するイメージを覆すもので、今見るとかなり新鮮に感じられる。前半がとくに面白く、雪道に捨てられたタバコの吸殻を拾ってうまそうに吸うシーンが妙にリアルだし、アラカン演じる老人服役囚と高倉健演じる橘との絡みも印象的だ。しかし、後半はなんちゃって「手錠のままの脱獄」になってしまい、終わり際も南原宏治が母親の名前を口にするのがやや唐突に感じてしまったのがちょっと残念だったかな。出演者の中ではやはりアラカンが存在感があり、日本映画草創期の俳優らしい威厳を感じさせていて印象的だった。彼が八人殺しの鬼寅だとほかの囚人に明かすシーンは見ていてなんだか笑えるが、同時にそのシーンがこの映画におけるアラカン最大の見せ場だと思う。そうそう、石井輝男監督の映画を見たのはこれが初めてだったのだが、カルト映画の監督と聞いていたからあんがいオーソドックスなつくりに逆にちょっとビックリ。(最初に書いた高倉健が陽気に裸踊りするシーンはこの監督ならではのことなのか?)まあ最初からいきなりカルトな映画を見るよりはこのほうが入っていきやすいかもしれない。