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<ネタバレ>自身の舞台劇を映画化した三谷幸喜監督のデビュー作。かなり久しぶりに見たが、限られた空間と限られた時間の中で限られた登場人物が織りなす三谷監督らしいシチュエーションコメディーで、後の三谷監督の映画と比べて大風呂敷を広げたような映画ではなく、あくまで小品であるところがいいし、それにやはり脚本の良さにつきる映画で、やはり三谷監督の脚本家としての巧さをいちばん感じられる映画になっていて、このおかげで最初から最後まで引き込まれ、やはり今見ても面白かった。生放送のラジオドラマが出演者たちのワガママによって脚本が次々に変えられていくというストーリーで、出てくる登場人物たちがどれも個性的で癖のある人物ばかりで見ていてつい笑ってしまうのだが、実際の現場もこういうことはよくあるのかなと思う反面、拡張された部分も多いと感じる。でも、本作の原作となった舞台が三谷監督が初めて脚本を担当した連ドラの撮影現場で、書いた本人に無断で脚本を書き替えられた経験から発想されたとのことで、その拡張された部分はそれを皮肉っているのだろうと考えればあまり気にならずに見れる。そんな中にあって採用された脚本を目の前で書き換えられてしまう鈴木京香演じる主婦には、やはり思わず感情移入させられ、彼女がスタジオに立てこもるシーンでそれは頂点に達してしまった。(三谷監督の術中に見事ハマってしまった?)騒動の発端となる女優・千本のっこを演じているのが戸田恵子なのだが、実写の女優として初めて見たのが本作であったせいか、見た実写出演作の中では今でもいちばん印象にある役なのだが、久しぶりに見てもそれは変わらなかった。やはりマイクの前に立つ姿が様になっていて、声の艶や出し方もよく、あらためて声優であると感じることができる。女優として見慣れてしまっても声優のイメージが大きいのは昔から声優としての出演作を見慣れていたせいもあるが、初めて見た実写出演作品が本作の千本のっこ役だったせいもあるかもしれない。それとラジオドラマを聴いているトラックの運ちゃんを渡辺謙が演じているのは最初見たときは気づかなかったのだが、伊丹十三監督の「タンポポ」のガンのその後の姿を思わせていて、宮本信子がチョイ役で出ていることも併せてオマージュであると感じずにはいられない。(2020年2月9日更新)