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<ネタバレ>血液検査で血をすり替えられ、余命二週間と診断されてしまった定年を間近に控えた刑事バートが家族に対し金を残すために自ら殉職を試みるコメディ。だからと言っておちゃらけた雰囲気ではなく、ドラマとしてしっかり真面目に作られている感じで、余命を宣告された主人公が自らの人生を見つめなおす物語として普通に見ごたえのある映画になっていて、ほろっとくるシーンも多く、とても面白い映画だった。時限爆弾を手に立てこもった男を説得するシーンでの「子供の成長した姿を見たいだろう」というバートの言葉が思わず胸に沁みるし、相棒・アーニーに食事を奢るシーンでのバートのセリフも人生を見つめなおしたからこそ説得力のある言葉になっていて味わい深く、見ていてなにか勇気をもらえたような気がした。アクション映画としての面白さももちろんあり、既にみなさん書かれているが、殉職を試みるバートがそのあまり管轄外の区域にまで手を広げ、逃走する犯人の車とカーチェイスを繰り広げるシーンはその味付け程度とは到底言えない本格的で壮絶なカーアクションが凄すぎて、思わず目を見張るほどの迫力で手に汗握る。アクション映画の主人公というのはどんな危険な目にあっても死なないのがお約束のようになっているが、このシーンのバートもそういうふうに描かれているのが見ていてつい笑ってしまう。でも、やっぱり本作の本質は最初にも書いたようなバートが自分自身を見つめなおしていくドラマ部分にあり、今回初めて見た映画だったが、今見るからこそバートに感情移入できる部分もあり、それはたぶん中年になった今だからこそ分かることだと思うし、紛れもない名作だと感じることができるのだろう。もし、10代くらいの頃に見ていたらコメディとしては単純に楽しめてもそこまでよく理解できなかったかもしれないし、気づかなかったかもしれない。やはり映画とは見た年齢やタイミングも重要なのだということをあらためて感じられた。[良:1票]