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<ネタバレ>宮崎駿監督や高畑勲監督が影響を受けたというフランスのアニメ。日本での公開時に高畑監督が字幕も手掛けていることもあって、偲ぶ意味も込めて初めて見てみた(その目的で本作を見るというのはちょっと違う気もするけど。)のだけど、抜ける床など仕掛けの多い城や、追われる男女二人、地下にいる市民、そしてラストの巨大ロボットなどカリ城やナウシカやラピュタで見たようなシーンが出てきて、まさに初期の宮崎、ジブリ作品を思い浮かべずにはいられない描写が多く、どんなに天才と呼ばれる作家でも必ずその根底には何かしら影響を受けている作品があるものなんだと感じることができる。しかし、既に書かれている方も何人かおられるが、初期の宮崎アニメが明るい冒険活劇的なのに対し、本作は作られた時代性もあってか、少し暗めで権力への風刺があって、テンポもゆったりとしている。とくに権力への風刺は強く、自画像の王様が本物に成り代わるというアイデアからして皮肉めいているし、追われる身の二人を助ける鳥も決して完全なる善のイメージで描かれてはいないことにも驚かされる。よくあるおとぎ話なら、悪い王様は鳥によって滅ぼされ、羊飼いの娘と煙突掃除人は幸せに暮らしましたとさで終わるところをそうはせずに、鳥が乗り込んだ巨大ロボットが城を破壊してしまうラストは少々ひねりすぎのような気がするのだが、王様も鳥も結局は同じという皮肉はなんとも辛辣で強烈。巨大ロボットが完全に破壊された城の瓦礫の上でまるで何かを考えているように座り込んでいるラストショットは否応ないもの悲しさと虚無感に包まれているが、この感じがたまらなく良い。でも、欲を言えば鳥によって解放された市民たちの歓喜にあふれたシーンなどをもっと強調しても良かったのではないか。それと、90分未満の短い映画だが、やや間延びしているように感じた部分もあったのはちょっと残念だったかな。アンデルセンの童話が原作とのことだが、見る前にそれは忘れたほうがいいかもということを最後に付け加えておく。