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<ネタバレ>パニック映画の金字塔と呼ばれる名作。今回かなり久しぶりに見たが、やはり面白い。転覆によって上下がさかさまになった豪華客船からの脱出劇というシンプルなパニック映画だが、きちんと人間ドラマとして見ごたえのあるものになっており、そこがこの映画に深みを与えていて、ただ映像のすごさだけで魅せていくアトラクションタイプのパニック映画とは一線を画している。中でもクリスマスツリーを伝わって上に行くか、残って救助を待つかの判断を迫られて、上に行くことを選ぶスコット牧師(ジーン・ハックマン)と、残って救助を待つことを選ぶパーサー、それぞれに従った人々の運命は大きく変わることになるが、やはり運命というものは紙一重で、そこに留まるか、行動するかで大きく左右されるものなのだという事を思い知らされ、ここはとくに印象に残り、まさに同じような状況に陥った時に自分だったらどうするかを考えさせられるシーンだったと思う。でもそれがあるからこそ、牧師に従って行動した人々の勇気に感動することができるし、見ているこちらも勇気づけられた気持ちになれる。荻昌弘もこの映画の解説で「必ず前進するほうを選ぶ、こうした考え方が、我々を励ましてくれている。」と語っているが、本当にその通りだと思う。でも、ジーン・ハックマン演じる牧師はとても胡散臭く、見ていてこの牧師がイマイチ信用できないので、もし同じような状況になった時にこんな人が説得を始めたら、たぶん自分だったら残る方を選んでしまうかもしれないな。ロゴ役のアーネスト・ボーグナインはやや癖のある演技だが、いい味を出している。製作のアーウィン・アレンは本作の成功を踏まえて「タワーリング・インフェルノ」を製作していて、そちらも面白いが、やはり本作のほうが人間ドラマがよく出来ているように思え、個人的には本作のほうが好きである。そうそう、見たのが今日(大晦日)の未明だったのだが、舞台が大晦日から始まる映画なのでこの年末時期に見るにはピッタリの映画かもしれない。(2012年12月31日更新)