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<ネタバレ>藤純子主演の任侠映画シリーズ第1作。藤純子の主演映画を見るのはこれが初めてで当然このシリーズを見るのも初めてという状況だったんだけど面白かった。藤純子(富司純子)といえば大林宣彦監督の「ふたり」の美加と千鶴子の母親役の印象が強く、若い頃の東映での出演作で印象に残っているものが少なかった(まあ、あまり見ていないというのもあるんだが。)のだが、この映画の藤純子は美しく、そしてかっこよくてもうこの映画一本見ただけで藤純子がなぜ当時人気があったか分かるし、もちろん今、見ても純粋にいいと思える。山下耕作監督は花を使った演出がうまいからと本作の監督に抜擢されたそうだけど、お竜が一度は堅気になろうとしたが、父親を殺されたことで再びヤクザの世界に戻る決心をするその心情を、牡丹の色が白から赤に変わることで表現する演出をはじめ、ところどころに牡丹の花のショットを挟むことによって血生臭いヤクザ映画に美しさを与えている。お竜が財布を水の中に捨てるシーンも彼女の悲しみをよく表現したシーンだろう。「私は男になった。」と口では言っていても女は女。そんなお竜のつらさがしっかりと描けているからこそ、主人公であるお竜=矢野竜子という女性を描いた人間ドラマとしても深みのあるものになっている。それに片桐(高倉健)と加倉井(大木実)の関係にもドラマ性を持たせるなどただの勧善懲悪ものではない深さを感じさせているのが良い。脇のキャラもよく、山本燐一扮するフグ新とか、おたか(清川虹子)の息子である吉太郎(山城新伍・・・だったんだ。)など印象に残る脇役が多かった。普段凄みを利かせた役柄の多い印象の若山富三郎がお笑い担当でコミカルな演技をしているのはかなり意外な感じがする。[良:1票]