泣いても笑ってもいよいよ今回で最後となる第六部。今まで第一部 .. >(続きを読む)
泣いても笑ってもいよいよ今回で最後となる第六部。今まで第一部から第五部まで中たるみなく高い水準の完成度を維持していただけにここの評価を見てちょっと心配だったんだが、今回はクライマックスの梶が美千子のことを思いながら彷徨しているシーンは今まで辛かった分、よけいに梶に感情移入できて素直に感動した。梶に語りかけてくる美千子の声(幻聴)も涙を誘い、思わず、今までよく頑張ったなと梶に思わず声をかけたくなる。そしてこのシーンは今まで梶を演じてきた仲代達矢ももうこれ以上の芝居は出来ないのではないかという名演技で非常に素晴らしく、雪の降る中、梶が倒れるラストシーンでは鳥肌が立った。しかし、今回、不満がないわけでもない。2番の方が書かれているが、彷徨シーンの途中に出てくる饅頭屋のシーンはやや唐突に感じられるし、幻聴として梶に聞こえてくる美千子の笑い声がちょっと怖かった(さっき書いたように語りかけて来る声は涙を誘うのに。)のがちょっと残念。とはいえこの「人間の条件」という六部作にも及ぶ作品全体の感想としては、これを超える戦争映画は二度と出ないのではないかというほどのすごい名作だと思う。この第六部に対してというより、シリーズ全体に対しての評価としての9点。