<ネタバレ>野球映画というよりは終戦直後の瀬戸内の島を舞台に、そこに暮ら .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>野球映画というよりは終戦直後の瀬戸内の島を舞台に、そこに暮らす人々の日常を描いているという感じで、女性教師と子供たちを中心にした物語であったり、瀬戸内の島の街並みも美しく撮られているなど今見ると篠田正浩監督は「二十四の瞳」をけっこう意識しているんだろうなと思ってしまうのだが、その女性教師役に夏目雅子というのがドンピシャにはまっていて、20年以上前に初めて見た時もそうだったのだが、やはり凛とした姿が非常に美しく、女優としてのうまさやオーラ、大人っぽさも感じられ、自信を持って好きな女優と言うことができるし、今後、夏目雅子のような女優は本当に二度と出てこないのではと思う。惜しくもこの映画が遺作となってしまったわけだが、とてもこの一年ちょっと後に亡くなるなんて思えないほど元気そうなのがまた切なく思えてくる。この映画はそんな夏目雅子の映画での最後の演技を見るだけでも価値があると思うし、個人的には今まで見た夏目雅子の出演作の役の中ではこの駒子先生がいちばん好きだ。本当にもっと長生きしていろんな作品に出て欲しかったと思う。さて、主軸となる子供たちのエピソード、中でもやはりメインとなる竜太(山内圭哉)、三郎(大森嘉之)、武女(佐倉しおり)の三人が織りなす恋物語、ベタな感じがするのは否定しないが、これが意外にも面白く見られたのは良かったし、なによりも子供たちが活き活きとしていたのが印象的で、それがこの映画の魅力の一つでもある。あと、出演者に関してもう少し書かせてもらうと、武女の父親役で伊丹十三が出ていて、この年に監督としてデビューしていることもあるので、本格的な俳優活動としてはこれが最後になるのかなぁと考えたりもした。それに夏目雅子の遺作であることはさっき書いたけど、駒子先生の義弟を演じた渡辺謙の映画デビュー作でもあり、彼がこの数年後に夏目雅子と同じ病気に罹ってしまうのは何の因果かとつい思ってしまう。渡辺謙は復帰して今も世界的に活躍しているが、これからも元気でいてもらいたいと切に願う。(2022年8月16日更新)[良:1票]