「私はこの映画が大好きだ。」
けれど人にはそんなこと言わな .. >(続きを読む)
「私はこの映画が大好きだ。」
けれど人にはそんなこと言わない。
もちろん薦めないし、けなされても「うん、うん」と頷ける。
ブルース・ウィルスは好きな俳優じゃないし、内容の9割は下世話な会話だし、
ウディ・アレンもどきの演出はどうかと思う。
けれど「私はこの映画が大好きだ。」
喩えるなら、つまり、よく冷えたビールだ。
蒸し暑さに目が覚め、通勤ラッシュに揉まれ、外回りで足を棒にした後は、
よく冷えたビールが格別に旨い。
夫婦の倦怠、言い争い、生活のこまごまとした不満、すれ違い、などなどを
丁寧に積み上げた後にある、ミシェル・ファイファーの発露が格別に泣ける。
あの台詞を聞くために、この映画を何度も観てしまう。
あのシーンだけ観る、なんて横着はナシだ。
ちゃんと汗をかいてからじゃないと、ビールは旨くならないぞ。
友人には言わないが、ここには書いておきたい。
「私はこの映画が大好きだ。」