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<ネタバレ>内気な人間なら誰でも一度は抱いたことがあるような、妄想を描いた映画。観る者に身もだえさせるほど、気恥ずかしくも美しい妄想。しかし、あまりに夢物語のストーリーに、作り手自身が気恥ずかしくなったのか、お話は妄想でしかありませんでした、という最後のオチは、「そうだろうな、そんなわけないわな」と現実に引き戻す。ところで、これは主人公の妄想でした、という無茶などんでん返しは『カリガリ博士』か。いや、電車の中で定期券を拾う一瞬に見た妄想だということならば、これは中国の古典『邯鄲の夢』か。どうせなら、とってつけたようなオチでがっかりさせるようなことはやめて、とことん妄想で終わってほしかった。どうせ映画は映画で、現実でないのだから。妄想でもいい、皆が幸せな気分で元気になるなら。作者もそこがねらい目ではなかったか。