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<ネタバレ>実は、見るまではあんまり期待してなかった。イーモウが始皇帝暗殺の物語を撮るって聞いて、はぁ?と思った。この人は、(中国第五世代の双璧のもう一人、陳凱歌と比べると)歴史的大作のダイナミズムよりは文芸的カホリで勝負する人だと思っていたから。でも、見てびっくり。思っていたよりずっとよかった。秦王と刺客の物語というからには、武侠ものなんだろうと思ったのが間違いで、これは武侠もの、アクションものというよりは、リアリティを無視して視覚的美しさで勝負を狙った芸術性の高い作品だ。イーモウらしい。見せ場はやっぱり、剣を使ったアクションにあるんだと思うけど、アクションというよりは剣舞という感じ。体の動きがすごくキレイだし、重力の存在をまるで無視したワイヤーアクションも、武侠のリアリティではなく、視覚的美しさに重点を置いて撮られたものだと思う。あと、『羅生門』パターンで繰り返される、残剣と飛雪のエピソードがバージョンごとに違う色を前面に出して描かれるが、どれも思わず息を呑む。これはマジで一見の価値アリだと思う。