正常に機能しない歪曲した性愛とその果てを描いたものとしては「 .. >(続きを読む)[良:1票]
正常に機能しない歪曲した性愛とその果てを描いたものとしては「ピアニスト」以来の衝撃作だった(アプローチと方向性は全く異なるけれど)。あの土砂降りの雨の中の、男2人対女1人の肉体的接触のない性交。全てが終わり、果て、立ち尽くし、ファインダーを静かに見据えるあのりん子の壮絶な美しさ。長い間心にとぐろを巻いて居座っていた大きな蛇が、六月の雨の中に解放されて行く。凄い。映画の序盤とは全く別人の顔を見せる彼女。黒沢あすかって、こんなに美しい女優だったんだ…。掛け値なしに素晴らしい女優だと思う。この密度の高い作品を見事に撮り上げた監督の手腕にも脱帽する。監督は当初、この作品は女性に評判が悪いかも…と思っていたそうだけれど、そんなことはない。逆に私はこれを、究極のフェミニズム映画だと断言出来る。真性のフェミニストでないとこんな作品は撮れない。久しぶりに文句なく素晴らしい邦画に出会えた。嬉しい。[良:1票]