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<ネタバレ>10点の目安は「傑作中の傑作。ここ何年間で最高の作品」となっている。それからすれば私には文句なしに10点満点! ここ何年間どころか、映画史上に残る名作だと思う。 最初は11人が有罪で、無罪は1人だったのが、ひとりずつ“転向”していくプロセスはスリリングですらある。しかも、その状況変化にまったく無理が感じられない。驚嘆すべきシナリオである。 主人公のヘンリー・フォンダの描き方もうまい。彼は必ずしも正義の人ではない。建築家という職業柄か、細かいことが気になるタチゆえ、わずかでも疑問が残るとそれが看過できないというだけといえば、それだけなのだ。途中、洗面所で顔を洗うシーンが出てくるが、顔を洗ったあと、爪に入ったゴミまでほじくり出している。またラストシーンでは、陪審員室をあとにするとき最後の最後まで忘れ物などがないか確認している。神経質な人間なのである。 登場人物もそれぞれ、「こういうヤツ、いるよな」という個性がきちっと設定され、演技ともども見事というほかない(説得力ある12の個性をかたちづくるのは、なかなか難しい仕事だと思う)。どこをつついてもアラがない。 それにしても、と思うのは、アメリカとはこれだけの映画がつくれる国であったはずなのに、現在の国情はいったいどうしたのだ、ということ。また、いま日本でも裁判員制度が導入されようとしているが、実際の裁判にのぞむ前にこの映画を見ることを義務づけてはどうかとも思った。