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<ネタバレ>面白かった。「これから生じるであろう犯罪」を未然に取り締まるという発想、そのシステムの中核が人間の予知能力に依存するという神秘さ、3Dパネルを駆使したハイテク映像分析装置がある一方、コロンところがり出てくる木の玉のアナログさ、などなど、まずアイデアと舞台装置に引きつけられた。トム君のまるで演舞のような映像分析ダンスも、ちょっと笑えるがユニークはユニーク。 本作には、「管理社会への告発」とか「情報操作の恐怖」とかいったテーマも汲み取れるかと思うが、「不確実性に対する謙虚さ」を改めて教えてくれているようにも私には思われた。私たちを取り巻くこの世界、実はほとんどすべてのものが不確実ではないか? 自分のことは自分が一番よく知っていると思いがちだが、それはほんとうか? テレビで識者が「小泉政権の無策のせいで、不況が長引いている」というが、事実か? 好きな人と結婚できれば幸せとホントにいえるのか? 何か問題があったとして、一つの「解決」が決められれば、それでほんとうの解決になるのか? 真実はそう簡単にはわからない。なのに、私たちはあまりにも安易に物事を断定的に捉えてしまっているのではないか(←私?)――そんな警鐘が鳴らされているように思えたのだ。 不確実性を侮るのは、傲慢というものだろう。もし一人ひとりがもう少しずつ「不確実性に対する謙虚さ」をもてれば、無用な争いは減り、この世はもっと暮らしやすくなることだけは確かな気がする。ラストを見ていて、そんなことを考えた。7点也です。でも、それって、とっても難しいとも思うが。